杉本章子さん [読書]
愛読していた宇江佐真理さんが亡くなられて寂しく思っていたが、何かを読んだ時に女流時代小説作家として、宇江佐さんと双璧だとして杉本章子さんの名前が挙がっていた。それまで全く読んでいなかったので、早速図書館で検索して、「お狂言師うきよ暦」の連作と、「信太郎人情始末記」の連作を読んで、すっかり嵌まってしまった。今流行の文庫書き下ろし作家の物とは読み応えがまるで違う。いわゆる文庫書き下ろしは、その嚆矢たる佐伯泰英を筆頭として、職人を自称しているが、本当の職人さんにすればふざけなさんな、と言いたいところだと思う。本当の職人は、木工であれ、漆器であれ、職人生命を懸けて一作一作造るのが職人だと思うが、文庫書き下ろし作家の作品には、パソコンに記憶させておいて、ポンとクリックすると出てくるような常套文句が溢れている。そんなもの読まなきゃいいだろうと、言われればそれまでだが、時間つぶしにはあれ以上便利なものはないので、ついつい読んでしまう。
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